「老後のお金、正直こわい……」。シングルマザーは、自分ひとりの年金で老後を暮らすことになります。そのため、老後資金に不安を感じている方はとても多いのではないでしょうか。私もそのひとりです。
結論からお伝えすると、老後資金は「老後2,000万円」のような平均の話で悩むのではなく、誕生月に届く「ねんきん定期便」で自分の年金見込額を確かめて、不足額を自分で計算するのが第一歩です。この記事では、2026年度の最新データをもとに、不足額の計算方法と準備の仕方を3つの手順で解説します。あわせて、シングルマザーだからこそ確認しておきたい「遺族年金」についても後半でお伝えします。

老後のお金って、結局いくら用意すればいいの?考えるだけで不安になっちゃう…。

わかります、私もそうでした。でも大丈夫。「平均」で悩むより、まずは自分の年金額を知ることから始めましょう。誕生月に届くハガキがヒントですよ。
結論:老後資金は「自分の年金額」から逆算しましょう
老後にいくら必要かは、人によってまったく違います。その理由は、年金の受取額が働き方と加入期間で大きく変わるからです。たとえば厚生年金の平均は女性で月11万円ほどですが、国民年金だけの方は月6万円弱と、同じ「平均」でも倍近い差があります。テレビで話題になった「2,000万円」という数字をそのまま信じても、自分に当てはまるとは限りません。だからこそ、①ねんきん定期便で自分の見込額を確認する、②老後の生活費を見積もる、③差額を計算する、という順番で「自分だけの答え」を出すことが大切です。順番に見ていきましょう。
女性がもらえる年金は平均いくら?【2026年度の最新データ】
まずは受け取る側の数字、つまり年金です。厚生労働省の最新の統計(令和6年度)によると、65歳以上の平均受給額は次のとおりです。
| 種類 | 平均月額 |
|---|---|
| 厚生年金(女性・65歳以上) | 11万4,797円 |
| 厚生年金(男性・65歳以上) | 17万3,033円 |
| 国民年金のみ(平均) | 約5万9,000円 |
| (参考)国民年金の満額(2026年度) | 7万608円 |
女性の平均は月11万4,797円で、男性より約6万円も低いのが現実です。理由は、現役時代の給与額と厚生年金への加入期間で受取額が決まるからです。出産や子育てでパート勤務の期間が長かった方は、平均より少なくなることもあります。逆に言えば、これから厚生年金に入って長く働くほど、年金は今からでも増やせるということです。ご自身の見込額は後ほど紹介する「ねんきん定期便」で確認できます。
老後のひとり暮らし、生活費は月いくらかかる?
次に出ていく側の数字、老後の生活費です。総務省「家計調査」(2025年平均)による、65歳以上のひとり暮らし(無職)世帯の平均は次のとおりです。
| 項目 | 月額(65歳以上・ひとり暮らし・無職) |
|---|---|
| 使えるお金(可処分所得) | 約11万8,000円 |
| 生活費(消費支出) | 約14万8,000円 |
| 不足額 | 約3万円 |
平均的な単身の高齢者は、生活費が月約14万8,000円かかるのに対し、使えるお金は約11万8,000円。毎月約3万円の赤字を貯蓄の取り崩しで埋めながら暮らしている計算になります。しかも、この平均には持ち家の方が多く含まれています。賃貸住まいを続ける場合は、家賃の分をさらに上乗せして考える必要があります。
老後資金の不足額を計算する3ステップ
ステップ①:ねんきん定期便で「見込額」を確認する
ねんきん定期便は、毎年誕生月にハガキで届きます。見るべき場所は年齢によって違います。50歳以上の方は「このままの条件で60歳まで働いた場合の見込額」がそのまま載っています。50歳未満の方に載っているのは「これまでの実績でもらえる額」なので、この先働く分だけ実際は増えていきます。スマホやパソコンで「ねんきんネット」に登録すれば、いつでも詳しい試算ができて便利です。
ステップ②:自分の老後の生活費を見積もる
いま家計簿をつけている方は、とても有利です。今の支出から、子どもの教育費や住宅ローンが終わったあとの金額をイメージしてみてください。目安としては、現役時代の生活費の7割程度といわれています。家計簿がない方は、まず先ほどの平均値「月14万8,000円」で計算を始めれば大丈夫です。
ステップ③:「(生活費−年金)×12か月×25年」で計算する
65歳から90歳までの25年間で計算してみましょう。計算例は次のとおりです。
| ケース | 年金(月) | 生活費(月) | 25年間の不足額 |
|---|---|---|---|
| 女性の平均的な厚生年金 | 11.5万円 | 14.8万円 | 約990万円 |
| 国民年金だけ(満額) | 7.1万円 | 14.8万円 | 約2,310万円 |
自分の不足額がわかると、漠然とした不安が「毎月いくら準備すればよいか」という具体的な目標に変わります。たとえば990万円を65歳までの15年間で準備するなら、単純な貯金だと月5万5,000円。正直、貯金だけではかなり大変です。そこで次に、現実的な準備の方法を3つ紹介します。
不足額は「積立投資・年金の増額・働き方」の3本柱で準備する
①少額からの積立投資(NISA)
月3万円を年5%で15年間積み立てると、計算上は約800万円(元本540万円)になります。貯金だけで月5万5,000円必要だった目標に、月3万円で近づける計算です。もちろん投資に絶対はありませんが、時間を味方につけられるのは大きな強みです。詳しいシミュレーションの表とグラフは20年キャッシュフロー表の記事に載せていますので、あわせてご覧ください。
②受け取り開始の年齢で増減する(繰上げ・繰下げ)
年金は原則65歳からですが、受け取り開始は60歳から75歳まで自分で選べます。早くもらう「繰上げ」は1か月ごとに0.4%の減額(昭和37年4月2日以降生まれの方)、遅くもらう「繰下げ」は1か月ごとに0.7%の増額です。65歳時点で月11万5,000円(女性の平均)の方を例にすると、次のようになります。
| 受け取り開始 | 年金月額(例) | 65歳と比べて |
|---|---|---|
| 60歳(繰上げ) | 約8万7,000円 | 24%減(減額は一生続く) |
| 65歳 | 11万5,000円 | — |
| 70歳(繰下げ) | 約16万3,000円 | 42%増 |
注意したいのは、繰上げの減額が一生続くことです。目安として81歳より長生きするなら、65歳受取のほうが総額で多くなります。女性の平均寿命は約87歳ですから、繰上げは慎重に考えたいところです。逆に、健康で長く働ける方には繰下げが心強い選択肢になります。70歳まで待てば42%増えるので、先ほどの毎月の不足がほぼ解消する計算です。
③長く働く+先取り貯金
60代前半も厚生年金に入って働けば、収入が得られるだけでなく年金そのものも増えていきます。また、毎月の家計から確実にお金を残すには「先取り」の仕組みづくりが欠かせません。私が実践している方法はシングルマザーの貯金の記事で詳しく紹介しています。
ねんきん定期便が届いたら、ここだけチェック
難しく考えなくても、見る場所は3つだけです。5分で終わります。
- 50歳未満の方:「これまでの加入実績に応じた年金額」(今後働く分だけ増えます)
- 50歳以上の方:「老齢年金の見込額」(60歳まで今の条件で働いた場合の金額)
- 全員:加入記録にもれや誤りがないか(転職した方、結婚・離婚で名字が変わった方は特に)
もし記録のもれを見つけたら、そのままにせず年金事務所に問い合わせましょう。記録が直れば、その分年金も正しく増えます。
もしもの時の「遺族年金」も、誕生月にいっしょに確認を
ここまでは「自分が長生きした場合」の話でした。でもシングルマザーにとっては、その反対、つまり「もしも自分が先に亡くなったら、残された子どもはどうなるか」も、同じくらい大切な備えです。じつは公的年金には、亡くなった方に生計を支えられていた家族に支給される「遺族年金」があります。老後の見込額を確認する誕生月は、この遺族年金もいっしょに確認する絶好のタイミングです。
遺族基礎年金は「子どもがいる家庭」に支給される
自営業でも会社員でも、国民年金から支給されるのが「遺族基礎年金」です。18歳になった年度末までの子どもがいる家庭が対象で、2026年度の金額は次のとおりです。
| 世帯 | 年額 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 基本額 | 84万7,300円 | 約7万600円 |
| 子ども1人の家庭 | 109万1,100円 | 約9万900円 |
| 子ども2人の家庭 | 133万4,900円 | 約11万1,000円 |
子ども1人につき24万3,800円(第3子以降は8万1,300円)が基本額に加算されるしくみです。ここで大事なのは、この遺族基礎年金は「子どもが18歳になった年度末まで」で終わるという点です。いちばん下の子が高校を卒業すると、支給はストップします。
会社員・公務員なら「遺族厚生年金」が上乗せされる
厚生年金に加入して働いている方(または加入していた方)が亡くなった場合は、遺族基礎年金に加えて「遺族厚生年金」が上乗せされます。金額は、亡くなった方が受け取るはずだった老齢厚生年金(報酬比例部分)のおよそ4分の3です。こちらは子どもの有無に関わらず対象になる場合があり、子どもが独立したあとの支えにもなります。正確な金額は、ねんきん定期便やねんきんネットの数字をもとに、年金事務所で試算してもらうのが確実です。
「遺族年金でいくら足りないか」が死亡保障の目安になる
この遺族年金の額を知ることが、生命保険(死亡保障)を考えるうえでの出発点になります。やみくもに大きな保険に入るのではなく、「遺族年金でこれだけ入る→わが家の生活費との差はこれだけ→足りない分を保険で用意する」と順番に考えると、保険料のムダを防げます。とくに、いちばん下の子が18歳を過ぎて遺族基礎年金が止まったあと、子どもが独立するまでの期間をどう支えるかがポイントです。反対に、すでに貯蓄や投資で備えができているなら、保険を減らす・やめるという選択も十分にありえます。大切なのは「不安だから」ではなく「計算した結果」で決めること。まずは「もしもの時に、公的な保障がいくら入るのか」を確かめてみましょう。
我が家のリアル
実は7月は私の誕生月で、ちょうど「ねんきん定期便が届く月」です。毎年、誕生月に見込額を確認して老後の計画を見直すのが、わが家の恒例行事になっています。そしてこのとき、私はもう一つ必ず確認していることがあります。それは「もしも私が今亡くなったら、娘たちに遺族年金がいくら入るのか」です。縁起でもない、と思われるかもしれません。でも、二人の娘を私ひとりで育てている以上、これは目をそらせない現実です。
正直にお話しすると、私は以前、死亡保障の生命保険に入っていました。今はもう解約しています。理由は、遺族年金と、これまでの貯蓄・投資で、もしもの時の娘たちの暮らしはまかなえると計算できたからです。逆に言えば、以前の私は遺族年金の存在をよく知らないまま、ただ漠然とした不安だけで保険料を払い続けていたのです。今振り返れば、これは無知ゆえのムダづかいでした。
必要なものに、必要な分だけ。とてもシンプルなことなのに、これがなかなか難しいのです。なぜなら、知らなければ「何が必要なのか」すらわからないから。遺族年金を知らなければ保険の入りすぎに気づけないし、繰下げ受給を知らなければ「長く働く」以外の選択肢が見えません。お金の不安の正体は、多くの場合「知らないこと」そのものだと、私は思っています。だからこのブログで、私自身が学びながら、同じように悩むあなたと一緒に一つずつ知っていきたいのです。数字にすれば、老後の不安も、もしもの不安も、「やることリスト」に変わります。二人の娘に心配をかけたくない——それが、私が毎年きちんと確認し、コツコツ続ける一番の理由です。いっしょに勉強して、不安を解消していきましょう。
まとめ:まずは誕生月のハガキを開くことから
- 女性の厚生年金は平均月11万4,797円。国民年金のみなら平均約5万9,000円
- 単身高齢者の生活費は月約14万8,000円。平均でも毎月約3万円の不足
- 不足額は「(生活費−年金)×12か月×25年」で自分の数字を出す
- 受け取りは60〜75歳で選べる。60歳は24%減、70歳は42%増(65歳基準)
- もしもの備えに「遺族年金」も誕生月に確認。死亡保障(生命保険)の目安になる
- 準備は「NISAなどの積立投資・繰下げ受給・長く働く」の3本柱
老後資金の不安は、正体がわからないから大きく見えます。誕生月に届くハガキを開いて自分の数字を知ることが、いちばん確実な第一歩です。私も今月、届いたらまた確認します。いっしょにコツコツ準備していきましょう。
出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」/厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」/総務省「家計調査」(2025年平均・生命保険文化センターまとめ)/日本年金機構「遺族年金」



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