住宅ローン控除とふるさと納税の併用|損する境目はどこか

所得税が0円でも、ふるさと納税の控除は消えませんでした 家計管理・投資

住宅ローン控除を受けていると、所得税が0円になる年があります。我が家も、源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円だった年が2回あります。

そうなると気になるのが、ふるさと納税です。ふるさと納税は「所得税と住民税から差し引かれる」仕組みなので、その所得税が0なら、その分は無駄になるのではないか

調べてみると、「併用すると損」と書かれた記事も、「損しない」と書かれた記事もありました。どちらも一般論で、実際にいくらだったのかは書かれていません。

そこで、手元にある住民税の決定通知書と源泉徴収票を3年分並べて、自分で計算してみました。結果は、我が家の場合は消えていませんでした。ただし、消える人もいます。その境目がどこにあるのかまで分かったので、書いておきます。

私は娘2人と暮らす働くシングルマザーです。ふるさと納税は今年で4年目、住宅ローン控除は令和5年から受けています。

住宅ローン控除は、所得税で引ききれないと住民税に回ります

まず、ここを知っているかどうかで話が変わります。

住宅ローン控除は、まず所得税から差し引かれます。所得税から引ききれなかった分があると、その残りは翌年度の住民税から差し引かれます

つまり所得税が0円になっても、使い切れなかった控除がそこで消えるわけではありません。行き先が住民税に移るだけです。

総務省のページには、「個人住民税の住宅ローン控除の適用にあたって、市区町村への申告は不要です」と書かれています。自分で何か手続きをする必要はありません。年末調整か確定申告をしていれば、あとは自治体側で処理されます。

読者さん

住民税に回るって、こちらで手続きするんですか?

miho

要りません。私も何もしていませんが、通知書を見たら住民税から引かれていました。

所得税が0だと、ふるさと納税はどうなるのか

ふるさと納税の控除は、ひとつではありません。3つに分かれています

どこから引かれるか計算
所得税(寄付額−2,000円)×所得税率
住民税・基本分(寄付額−2,000円)×10%
住民税・特例分(寄付額−2,000円)×(90%−所得税率)
※総務省「ふるさと納税のしくみ」より。③には上限があります。

このうち②と③は住民税から引かれるので、所得税が0でも関係ありません。問題は①だけです。

読者さん

所得税がもう0なら、①は引きようがないですよね。

miho

私もそう思っていました。でも通知書を計算してみたら、違っていました。

我が家では、①の分は消えていませんでした

順を追って書きます。

ふるさと納税をすると、寄付した分だけ課税所得が下がります。課税所得が下がれば、住宅ローン控除を引く前の所得税額も下がります

所得税額が下がるということは、住宅ローン控除で引ききれない分が、その分だけ増えるということです。そして増えた分は、住民税に回ります。

我が家の令和5年分(2023年の寄付)で計算すると、こうなりました。

ふるさと納税をしなかった場合実際(ふるさと納税あり)
ふるさと納税で減った所得税2,750円
住宅ローン控除で引ききれない分56,650円59,400円
住民税から引かれた額59,400円(通知書の実額)
※我が家の実額です。金額は所得や控除によって一人ひとり異なります。

計算した59,400円と、通知書に書かれていた金額がぴったり一致しました。1円も違いませんでした。

つまり①で使えなかった2,750円は、消えたのではなく、住民税から引かれる住宅ローン控除が2,750円増えるという形で戻ってきていたということです。

言いかえると、ふるさと納税と住宅ローン控除は、同じ財布を取り合っているわけではありません。所得税で使えなかった分が、住民税のほうに席を移しているだけでした。

3年分を並べると、こうなります

我が家の3年分です。住宅ローン控除の額は、どの年も139,300円で同じでした。

住宅ローン控除139,300円の内訳。2023年は所得税から79,900円と住民税から59,400円、2024年は96,600円と42,700円、2025年は全額139,300円を所得税から。どの年も合計は139,300円
同じ139,300円が、年によって所得税と住民税に分かれ方を変えています。
2023年2024年2025年
ふるさと納税をした額57,000円53,000円48,000円
住宅ローン控除の額139,300円139,300円139,300円
└ 所得税から引かれた79,900円96,600円139,300円(全額)
住民税から引かれた59,400円42,700円0円
※我が家の実額です。金額は所得や控除によって一人ひとり異なります。

下の2行を縦に足すと、どの年も139,300円になります。所得税で使い切れなかった分が、そのまま住民税に移っているのが見えます。

2025年だけ住民税が0円なのは、その年は所得税が多めに出たので、139,300円を全部そちらで使い切ったからです。住民税に回す分が残りませんでした。

では、ふるさと納税のほうはどこから引かれていたのか。同じ3年で並べます。

2023年2024年2025年
ふるさと納税をした額57,000円53,000円48,000円
① 所得税から2,750円2,550円2,348円
②③ 住民税から40,760円45,794円43,653円
控除の合計43,510円48,344円46,001円
自己負担13,490円4,656円1,999円
※②③は住民税の決定通知書の摘要欄に書かれていた実額です。

2025年は1,999円。ほぼ2,000円で収まっています。所得税が0円だった年があっても、ふるさと納税の側がおかしくなってはいませんでした。

2023年の13,490円は、ふるさと納税の限度額そのものを約1万3千円超えてしまった年です。住宅ローン控除とは別の失敗で、こちらの記事に書きました。
2024年が2,000円で終わっていないのは、所得税率の境目をまたいだためです。これも住宅ローン控除とは別の話なので、ここでは省きます。

ただし、境目があります

ここからが大事なところです。

住民税に回せる住宅ローン控除には、上限があります。

住民税から引ける住宅ローン控除の上限は、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円が上限)です。
※居住開始が平成26年〜令和3年12月31日で、消費税8%または10%がかかる住宅を取得した場合は7%(136,500円が上限)になります。

この上限にすでに達している人は、話が変わります。住民税側にもう空きがないので、ふるさと納税で所得税が減っても、移る先がありません。そこで消えます。

住民税側の上限にふるさと納税の①の分は
我が家達していなかった住民税に移って戻ってきた
上限いっぱいの人達しているそこで消える
※上限に達しやすいのは、住宅ローンの残高が大きく、所得税が小さい人です。
読者さん

じゃあ、誰でも損しないわけではないんですね。

miho

そこが分かれ目でした。「併用は損」と書かれている記事は、この上限に当たる場合の話をしているのだと思います。

ただし、消えるのは①の分だけです。②と③はもともと住民税から引かれるので、上限に当たっている人でも効いています。全部が無駄になるわけではありません

住宅ローン控除があると、限度額そのものは下がるのか

もうひとつ、心配になるところがあります。住宅ローン控除を受けていると、ふるさと納税の限度額そのものが下がるのではないか、という点です。私も最初はそう思っていました。

限度額は、住民税の所得割額をもとに決まります。そしてこの所得割額は、住宅ローン控除などの税額控除を引く前の金額です。

我が家の3年分を計算し直してみましたが、住宅ローン控除があってもなくても、限度額の計算に使う数字は変わりませんでした。住宅ローン控除は、限度額を押し下げてはいませんでした。

ただし医療費控除やiDeCoのような「所得控除」は別です。こちらは課税所得そのものを下げるので、限度額も一緒に下がります。同じ「控除」でも、限度額への効き方が逆になります。

ワンストップ特例なら、この心配自体がなくなります

ここまでは確定申告をする前提で書いてきました。ワンストップ特例を使う場合は、話がもっと単純になります。

総務省のページには、こう書かれています。

ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行った場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます

つまりはじめから所得税を通らないので、「所得税が0だとどうなるのか」という悩み自体が発生しません。

ただし確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。医療費控除を使う予定がある方、住宅ローン控除の1年目の方は、確定申告が必要なのでワンストップは使えません。

私は医療費控除もあわせて申告しているので、ワンストップは使っていません。どちらを使うかで、控除の通り道が変わるということです。

自分がどちらなのか、確かめる方法

必要なのは2枚です。どちらも手元にあるものです。

見るものどこを分かること
源泉徴収票(毎年12月〜1月)右上の「源泉徴収税額」0円なら、所得税は使い切っている
住民税の決定通知書(毎年6月ごろ)摘要欄の「住借特控」住民税に回った住宅ローン控除の額
※通知書の様式は自治体によって違います。「税額控除額」の欄や摘要欄を探してみましょう。

源泉徴収税額が0円で、通知書に住借特控の記載があれば、住民税に回っている状態です。あとはその額が上限(課税総所得の5%か97,500円のどちらか小さいほう)に達しているかどうかを見ます。

読者さん

通知書、捨ててしまったかもしれません。

miho

源泉徴収票だけでも、だいたい分かります。源泉徴収税額が0円でなければ、そもそもこの心配は要りません。

それでも私が8割で止めている理由

ここまで書いてきたのは「所得税が0でも損はしない」という話ですが、これは限度額の中に収まっている場合の話です。

ふるさと納税そのものの限度額を超えてしまうと、住宅ローン控除とは関係なく持ち出しが出ます。私は一度、限度額を約1万3千円超えたことがあります。そのときの実質負担は2,000円ではなく、約13,400円でした。

その話は別の記事に書きました。いまは限度額の8割で止めています。

まとめ

  • 住宅ローン控除は所得税から引ききれないと住民税に回る。市区町村への申告は不要
  • ふるさと納税の控除は3つ。所得税が0で影響を受けるのは①の所得税分だけ
  • 我が家では①の分は消えていなかった。住民税に回る住宅ローン控除が同額増えていて、通知書の実額と1円まで一致した
  • 境目は、住民税側の上限(課税総所得の5%・97,500円が上限)。ここに達していると移る先がなく、①は消える
  • 消えるのは①だけで、②と③は効いている。全部が無駄になるわけではない
  • 確かめるのは源泉徴収票の「源泉徴収税額」住民税決定通知書の「住借特控」の2か所

「併用すると損」と書かれた記事も、「損しない」と書かれた記事も、どちらも間違いではありませんでした。上限に当たっているかどうかで、答えが変わるだけでした。

今日の1つ

源泉徴収票を出して、右上の「源泉徴収税額」だけ見てみましょう。

0円かどうか。それが分かれば、今日はそれで十分です。

かかる時間は2分。見つからなければ、12月から1月にかけて配られる新しいものでも構いません。

0円でなければ、この記事の心配はそもそも要りません。0円だったなら、次は通知書を探してみましょう。順番に見ていけば、必ず分かります。

出典

  • 総務省「新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。」
  • 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」

※本記事は2026年9月時点の情報と、我が家の実際の書類をもとにしています。控除の金額は所得・家族構成・ほかの控除・住宅の取得時期によって一人ひとり異なります。ご自身の金額は、源泉徴収票と住民税の決定通知書、またはお住まいの自治体・税務署でご確認ください。

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