小学校や中学校は「義務教育だから無償」といわれます。ところが実際に通わせてみると、給食費、教材費、体操服、修学旅行の積立……と、毎月なにかしらの集金があります。この「学校のお金」を市区町村が援助してくれる制度があるのをご存じでしょうか。
それが今回ご紹介する「就学援助」です。結論からお伝えすると、この制度は知らなければ1円も受け取れません。学校からのお知らせを「うちは関係ない」と読み飛ばしてしまう方がとても多いからです。実は私もそのひとりでした。この記事では、対象になる世帯の目安、支給額、申請方法を、私の反省もこめて解説します。

義務教育って無償のはずなのに、給食費に教材費に修学旅行の積立…。毎月けっこう引き落とされてます…。

わかります。実はその「学校のお金」を市区町村が援助してくれる制度があるんです。恥ずかしながら、私は子どもが小中学生のころ知りませんでした…。
就学援助とは?小中学生の「学校のお金」を市区町村が支援する制度
就学援助は、経済的な理由で就学が難しい家庭に対して、市区町村が学校生活にかかるお金を援助する制度です。学校教育法という法律に基づいた全国の仕組みで、全国どこの市区町村にもあります。対象になるのは、小学生と中学生のいる家庭です。援助してもらえる費目は自治体によって少しずつ違いますが、おおむね次のようなものが対象になります。
- 学用品費・通学用品費(文房具やノート、通学かばんなど)
- 給食費(全額)
- 修学旅行費・林間学校などの宿泊行事費
- 遠足などの校外活動費
- 新入学用品費(ランドセルや制服などの入学準備のお金)
- 卒業アルバム代、クラブ活動費、PTA会費、体育実技用具費(自治体による)
「困っている家庭のための制度でしょう?」と思われるかもしれません。たしかに生活保護世帯は対象ですが、実際の利用者の大半は「生活保護は受けていないけれど、それに近い水準」と認められた世帯(準要保護)です。この基準が意外と広く、後ほど説明するとおり、自治体によっては「児童扶養手当は所得で対象外だった」という方でも該当することがあります。
いくらもらえる?支給額の目安
金額は自治体ごとに決められていますが、国の補助単価をもとにしている自治体が多く、おおよその目安は次のとおりです。
| 費目 | 小学生(年額の目安) | 中学生(年額の目安) |
|---|---|---|
| 学用品費・通学用品費 | 約1万2,000円 | 約2万3,000円 |
| 給食費 | 実費全額(約5〜6万円) | 実費全額(約6〜7万円) |
| 修学旅行費 | 実費(約2万円) | 実費(約6万円) |
| 新入学用品費(入学準備金) | 約5万4,000〜5万7,000円 | 約6万〜6万3,000円 |
すべて合わせると、小学生で年間およそ6〜13万円、中学生で年間およそ11〜18万円になります。とくに大きいのが入学準備のお金(新入学用品費)で、中学校入学なら約6万円。制服や自転車の出費が重なる時期に、これはかなり助かる金額です。なお、学校給食の無償化を実施している自治体では、給食費はそもそも徴収されないため援助の対象から外れます。
対象になるのはどんな世帯?年収の目安と「自治体差」
対象は大きく2種類です。①生活保護を受けている世帯(要保護)、②生活保護に準ずる程度に生活が苦しいと市区町村の教育委員会が認めた世帯(準要保護)。このうち②の基準が自治体ごとに違います。よくある認定要件は次のとおりです。
- 児童扶養手当を受給している(これだけで自動的に認定される自治体が多い)
- 世帯の所得が基準額以下(生活保護基準の約1.1〜1.5倍とする自治体が多い)
- 住民税が非課税・減免されている、国民年金や国民健康保険の減免を受けている など
どのくらい自治体差があるのか、東京23区の実例を見てみましょう。
| 自治体の例(いずれも3人世帯) | 家族構成の例 | 所得基準の目安(前年の世帯所得) |
|---|---|---|
| 江戸川区 | 父39歳・母37歳・子ども(中1) | 306万円以下 |
| 江東区 | 父43歳・母36歳・子ども(12歳) | 約375万円未満 |
ほぼ同じ家族構成(3人世帯・子どもは中学1年生ごろ)でも、基準額に約70万円の差があります。同じ東京23区でこれだけ違うのですから、「隣の市がダメだったから、うちの市もダメだろう」という判断はできません。なお、表の例は夫婦と子どもの世帯ですが、ひとり親世帯でも世帯人数と年齢をもとに同じように判定されます。ここで大事なことをひとつ。「児童扶養手当が所得オーバーで対象外だった人」でも、就学援助なら対象になる自治体があるということです。制度が違えば基準も違います。「手当がもらえなかったから、どうせこれもダメ」と思い込むのがいちばんもったいないパターンです。お住まいの自治体名+「就学援助」で検索すると、基準額の表がすぐに見つかります。
申請方法は3ステップ。年度途中でも申請できます
①毎年4月に学校から申請書が配られる
就学援助の申請書は、毎年4月ごろに学校を通じて全員に配られるのが一般的です。希望者だけに渡されるわけではないので、申請すること自体が周囲に知られる心配はありません。提出は学校経由のほか、教育委員会への郵送や電子申請ができる自治体も増えています。
②年度途中でもいつでも申請できる
「4月に出しそびれたからもう無理」ということはありません。離婚や失業などで家計が変わったときは、年度の途中からでも申請できます(認定は原則、申請した月からになるため、早いほど有利です)。離婚したばかりの方は、前年の所得で判定される点に注意しつつ、まず教育委員会に相談してみてください。
③入学前の「前倒し支給」も使える
新入学用品費(入学準備金)は、多くの自治体で入学前の1〜3月に前倒しで受け取れるようになっています。ランドセルや制服はどうしても入学前にお金がかかるので、来春に小学校・中学校への入学を控えている方は、秋〜冬ごろの自治体の案内を見逃さないようにしましょう。なお、就学援助は一度認定されても毎年申請が必要です。
「申請したら周りに知られない?」よくある不安

申請したら、学校の先生やまわりの保護者に知られたりしませんか…?

大丈夫です。申請書は全員に配られますし、手続きは事務や教育委員会の担当。お子さんにも他の家庭にも分からない形で処理されますよ。
手続きは学校の事務や教育委員会が扱い、担任の先生やクラスの保護者に一覧が知られるようなことはありません。給食費などの援助費は保護者の口座に振り込まれる(または学校に直接支払われる)のが一般的で、お子さんの学校生活は何も変わりません。「子どもに引け目を感じさせたくない」という理由でためらう必要はない仕組みになっています。
我が家のリアル
正直にお話しすると、私はこの制度を知りませんでした。子どもたちが小中学生だったころ、給食費や教材費、修学旅行の積立を毎月払いながら、「義務教育でもけっこうかかるなあ」と思っていただけで、援助制度があることに考えが及びませんでした。学校から配られていたはずの申請書も、「うちは関係ない」と読み飛ばしていたのだと思います。
この記事を書くために調べて、ドキッとしたことがあります。わが家は児童扶養手当が所得で対象外だったので、「就学援助もどうせ対象外」と思い込んでいました。ところが基準は自治体ごとに違っていて、所得の目安が思ったより高い区もある。つまり、確認していれば該当していた可能性もゼロではなかったのです。児童扶養手当の窓口で言われた「まずは申請だけでも」という言葉を、私はこの制度では実行していませんでした。確認は5分。それをしなかったことが、いちばんの反省です。
お金の制度は、知っている人だけが受け取れる仕組みになっています。「うちは関係ない」と決める前に、まず調べる。それだけで、受け取れるはずのお金を逃さずにすみます。この記事が、かつての私と同じ「知らないまま」の方に届いたらうれしいです。
まとめ:「うちは関係ない」と決める前に、5分だけ確認を
- 就学援助は、小中学生の給食費・学用品費・修学旅行費・入学準備金などを市区町村が援助する制度
- 目安は小学生で年6〜13万円、中学生で年11〜18万円
- 児童扶養手当を受給している人は、ほぼ自動的に対象になる自治体が多い
- 児童扶養手当が所得で対象外の人でも、該当する自治体がある(基準は自治体差が大きい)
- 申請は学校経由が基本。年度途中OK・入学前の前倒し支給あり・毎年申請が必要
ひとり親家庭が使える手当や助成は、就学援助のほかにもたくさんあります。全体像はシングルマザーが使える手当・助成金一覧にまとめていますので、あわせてチェックしてみてください。
出典:文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」/江戸川区「就学援助費」/江東区「就学援助制度」(いずれも2026年7月確認)



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