「ひとり親控除って、私も使えるの?」「そもそも何がどう安くなるの?」——手当とちがって、税金の控除は目に見えにくいぶん、よく分からないまま放置してしまいがちです。
結論からお伝えすると、ひとり親控除が使えると、所得税と住民税をあわせて年間およそ5万〜10万円、税金が安くなります(税率によって変わります)。しかも申告は、年末調整ならチェック1つです。
この記事では、二人の娘を育てるシングルマザーの私が、国税庁の情報をもとに次のことをやさしく整理します。
- ひとり親控除でいくら安くなるのか
- 対象になる条件(3つだけ)
- 寡婦控除とのちがい
- 年末調整・確定申告での申告のしかた
(※制度内容は2026年7月時点の情報です。適用の可否は必ず国税庁サイトやお勤め先、税務署でご確認ください)
ひとり親控除とは?
ひとり親控除は、ひとりで子どもを育てている人の税金の負担を軽くするための「所得控除」です。2020年(令和2年分)から始まった比較的新しい制度で、性別や婚姻歴に関係なく、シングルマザーもシングルファザーも、未婚のひとり親も対象になります。
控除される金額は、次のとおりです。
- 所得税:35万円の所得控除
- 住民税:30万円の所得控除
「所得控除」というのは、税金そのものが35万円引かれるのではなく、税金を計算するもとになる所得から35万円を差し引けるという意味です。では実際、いくら安くなるのでしょうか。
実際いくら安くなる?年収別の目安
安くなる金額は「所得税の税率×35万円+住民税10%×30万円」で概算できます。目安は次のとおりです。
| 課税所得の目安 | 所得税の軽減 | 住民税の軽減 | 合計(年間) |
|---|---|---|---|
| 195万円以下(税率5%) | 17,500円 | 30,000円 | 約4万7千円 |
| 195万〜330万円(税率10%) | 35,000円 | 30,000円 | 約6万5千円 |
| 330万〜695万円(税率20%) | 70,000円 | 30,000円 | 約10万円 |
たとえばパートや会社員で課税所得が195万〜330万円の方なら、年間およそ6万5千円。毎月に直すと5,000円以上です。固定費の見直し1項目分に匹敵する金額が、チェック1つで戻ってくると考えると、申告しない手はありません。(※復興特別所得税などは省略した概算です)
対象になる条件は3つ
ひとり親控除の対象になる条件は、シンプルに言うと次の3つです(その年の12月31日時点で判定されます)。
- ①婚姻していない(離婚・死別・未婚いずれでもOK。事実婚のパートナーがいる場合は対象外)
- ②生計を同じくする子どもがいる(子どもの総所得金額等が48万円以下であること)
- ③本人の合計所得金額が500万円以下(給与収入のみなら、年収およそ677万円以下が目安)
「所得500万円」は年収(額面)とはちがう点に注意してください。児童扶養手当の所得制限よりずっと高い水準なので、手当は対象外だった方でも、控除は使えるケースが多いのです。
寡婦控除とのちがい
よく似た制度に「寡婦控除」があります。ちがいを表で整理します。
| ひとり親控除 | 寡婦控除 | |
|---|---|---|
| 対象 | 性別・婚姻歴を問わないひとり親 | 離婚・死別した女性(子以外の扶養親族など) |
| 控除額(所得税) | 35万円 | 27万円 |
| 控除額(住民税) | 30万円 | 26万円 |
| 所得制限 | 合計所得500万円以下 | 合計所得500万円以下 |
| 子どもの要件 | 生計を一にする子が必要 | 子は要件ではない |
ざっくり言うと、子どもを育てているひとり親は「ひとり親控除」、子ども以外の扶養親族がいる、または死別で扶養親族がいない女性は「寡婦控除」という住み分けです。両方の条件を満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除が優先され、併用はできません。
申告のしかた|年末調整ならチェック1つ
ひとり親控除は、申告しなければ適用されません。やり方は働き方によって2通りです。
| 働き方 | 申告方法 | やること |
|---|---|---|
| 会社員・パート | 年末調整 | 扶養控除等申告書の「ひとり親」欄にチェック |
| 自営業・フリーランス | 確定申告 | 申告書の「ひとり親控除」欄に金額を記入 |
| 申告し忘れた過去の分 | 還付申告 | 5年以内ならさかのぼって申告できる |
年末調整での書き方(会社員・パート)
会社員・パートの方は、年末が近づくと会社から配られる「扶養控除等(異動)申告書」に「ひとり親」のチェック欄があります。ここに印をつけるだけです。過去の分を申告し忘れていた場合も、5年以内なら還付申告でさかのぼって取り戻せます。

確定申告での書き方(自営業・フリーランス、還付申告)
自営業・フリーランスの方や、過去の分をさかのぼって還付申告する方は、確定申告書に記入します。書くところは、たった2か所です。
- 第一表:「所得から差し引かれる金額」の「寡婦、ひとり親控除」欄(⑰〜⑱)で、「区分」に「1」と記入し、金額欄は「35」と書きます(末尾の0000は印字済みなので、あわせて350,000円になります)。※寡婦控除の場合は区分は空欄のまま、金額は「27」(270,000円)です。
- 第二表:「本人に関する事項(⑰〜⑳)」の「ひとり親」を○で囲みます。


なお、e-Tax(スマホやパソコンからの申告)なら、画面の質問に答えていくだけで自動的に控除が計算されるので、手書きよりずっと簡単です。マイナンバーカードがあれば自宅から申告できるので、初めての方にはe-Taxをおすすめします。
還付申告のやり方(過去5年分までさかのぼれる)
「これまで年末調整でチェックを入れていなかった…」という方も、あきらめる必要はありません。払いすぎた税金は、還付申告で取り戻せます。
還付申告は、対象になる年の翌年1月1日から5年間、いつでも提出できます。確定申告の期間(2月16日〜3月15日)を待つ必要も、その期間内に出す必要もありません。
- 源泉徴収票を用意する:取り戻したい年分の源泉徴収票を手元に。なくした場合は勤務先で再発行してもらえます。
- その年分の確定申告書を作成する:書き方は、上で紹介した第一表・第二表と同じです。e-Taxなら過去の年分も画面の案内に沿って作れます。
- 提出する:e-Tax・郵送・税務署の窓口のいずれでもOK。後日、指定した口座に還付金が振り込まれます(目安は1か月〜1か月半ほど)。
たとえば所得税率5%の方なら、1年分で17,500円。もし5年分申告し忘れていたら、合計87,500円を取り戻せる計算です。所得税の還付申告をすると住民税も市区町村で再計算されるので、あわせて負担が軽くなります。心当たりのある方は、ぜひ源泉徴収票を確認してみてください。
「知っているかどうか」で差がつく
私は以前の記事にも書いたとおり、児童扶養手当は所得の面で対象になりませんでした。でもそのとき、窓口の方に勧められて申請だけでもしてみた経験から、「制度は知っているかどうかがすべて」だと痛感しました。
手当は窓口の方が案内してくれることもありますが、税金の控除はだれも教えてくれません。年末調整の書類のチェック欄を、意味が分からないまま素通りしてしまえば、それだけで年に数万円を失うことになります。この記事が、その「素通り」を防ぐきっかけになればうれしいです。
ひとり親控除 よくある質問3つ
児童扶養手当をもらっていなくても使える?
はい、使えます。ひとり親控除と児童扶養手当は、まったく別の制度です。手当の所得制限(子1人で所得190万円前後まで)より、控除の所得制限(500万円以下)のほうがずっと高いので、手当が対象外の方でも控除は使えるケースが多くあります。
パートで収入が少なくても関係ある?
関係あります。ひとり親の場合、住民税が非課税になる所得の基準が一般より高く設定されており、給与収入だけならおよそ204万円以下で住民税が非課税になります。ご自身がどちらに当てはまるか、一度お住まいの自治体のサイトで確認してみてください。
年の途中で離婚した場合はいつから使える?
判定は「その年の12月31日時点」の状況で行われます。たとえば2026年の途中で離婚し、年末時点でひとり親の条件を満たしていれば、2026年分からまるごと控除の対象になります。離婚した年の年末調整から、忘れずにチェックを入れましょう。
まとめ|年末調整のチェック1つを忘れずに
ここまで、ひとり親控除についてお話ししてきました。ポイントをまとめます。
- 所得税35万円+住民税30万円の所得控除で、年間およそ5万〜10万円の節税に
- 条件は「婚姻していない・子がいる・所得500万円以下」の3つ
- 年末調整なら「ひとり親」欄にチェック1つ、忘れていても5年以内なら還付申告できる
ひとり親が使える手当・助成金は「シングルマザーが使える手当・助成金一覧」に、控除や節税で浮いたお金の活かし方は「シングルマザーの貯金は平均いくら?実例公開」にまとめています。あわせて読んでみてください。



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